将棋の序盤戦術について書いてみる。将棋を教えるとき、私は序盤を重視して教えている。自分が四半世紀前から序盤型ということもあるんですけどね。 大学で後輩に教えるとき感じるのは、序盤、特に作戦も決まっていない20手くらいまでに長考が多いことだった。話を聞いてみると、「振り飛車にするか、居飛車にするか迷っている」「何を指そうかわからない」など。大会では持ち時間も短く、切れ負けも多いため致命的な問題と思う。中学以降で将棋を始めるなら体系化して指すことを進めている。
体系化する上で重要となるのが、戦法選択の組み合わせだ。例えば角交換されたくないのに序盤で▲7六歩とする。対振り飛車で右四間腰掛銀を指したいのに▲5六歩とする。相手の指し手をみて対応できる駒組みができるように組み立てておけば、序盤で迷わないで済む。
第1図、10局指せば4,5局は現れることもある局面。以前はここで第2図▲5六歩としていた。後手矢倉なら矢倉中飛車、対振り飛車も損にならないと第2図としていたのだが、ゴキゲン中飛車、石田流の増加、対矢倉-左美濃急戦の登場により、第1図から▲2五歩としている。第3図の△3三銀なら矢倉と決め打ちすることができる。雁木、振り飛車には駒組みしにくいことがわかっていれば、矢倉決め打ちで第4図の左美濃急戦までは一直線だ。