今回は、棒銀に対して1筋の歩を突かないで△5四角とした変化について解説します。
左上図が▲3三金型、右上図はよくある定跡。違いはまたも後手右銀の遅れである。
右上図から定跡どおり進むと30手目左図のような△3三金がある。▲2二飛成には△同飛で終わりだ。
後手銀の立ち遅れを狙ってこの変化を目指すのもいいがもっといい変化がある。
▲3八飛を打たずに▲2六飛!定跡形なら以下△4四銀▲2四歩△3五銀の24手目右下図と進めればいいのだが、ここから▲2八飛△2四歩にいい反撃がある。
27手目以下、△7三銀▲1九角成△3三桂▲1二馬△4五角 左下図。7七金が7七銀の美馬棒銀なら6七地点を狙われるが、▲7七金型が活きる。
32手目では▲1三馬としても十分だが、激しく▲4六歩△4六歩▲4八香となれば先手優勢である。
△3三金型 早繰り銀の幅が広がらないかと思い棒銀戦法を紹介します。
初手から▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲2五歩△3二金▲7七角まで左図
左図以下、△3四歩▲7八金△7七角成▲同金まで右図
横歩取りを誘うも左図のように拒否され後手の注文で角換わりになることは多い。▲7八金を省略した美馬棒銀を多用していましたが、下図のように後手右銀を保留して7筋を攻められる手を見せられると通常の棒銀に戻らざるをえない。そこでtwitterでみかけた△3三金型 早繰り銀をヒントに▲7七金型棒銀を指すようにしてみた。
△3三金型早繰り銀は初手から
▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀△3二金▲2五歩△3三角▲同角成△同金▲7七銀まで左図と、先手から角交換させて一手得し先手の利を得る戦法である。
私は後手番2手目に△8四歩を指さないため、後手では使えないが、2手目△8四歩を指す方にも紹介する棒銀は使えるかと思う。
2018/5/18の竜王戦 船江六段-藤井六段戦は25年ほど前に読んだ定跡書にあった美馬棒銀でした。狙いはリンク参照
美馬棒銀対策は手持ちの定跡書によると米長永世棋聖の△7四歩がある。後手は先手の7八金省略に対抗して右銀を動かずに第1図から△7五歩▲同歩△6五角(第2図)が狙いである。攻め合いとなったとしても後手は飛車に紐がついている。
竜王戦では第2図となるかと思っていたら予想外の第3図の△4五角!自分の実戦でも△5四角しか経験がなかったので衝撃でした。将棋ウォーズで月に1,2回ほど遭遇する局面なので今後この対局を参考に第3図は増えるのではないかと考えています。
第3図となった場合どう指せば良いのかまだ研究できていませんが、▲5六角か▲2四歩がいいように感じます。
美馬棒銀の関連棋譜を探していて見つけた将棋から。左上図1手前で▲2六飛が美馬棒銀であるが、そのまま突っ込む変化もあるようだ。右上図の△2七歩で先手が失敗のように思うが、左金を上がっていないので▲8八飛!△2四銀と銀得だが▲5五角の左下図から香車を取り、銀香交換。さらに右下図の▲5六香でなんと後手の角が助からない。棒銀は奥が深い。
過去の投稿:美馬棒銀
先日紹介した美馬棒銀を意識しすぎて失敗した将棋を紹介。角換わり棒銀対策で一番嫌な変化が、棒銀を繰り出した後に3三の銀を2二に引く銀交換拒否!1五の銀の活用が見込めず組み替えに苦労することになる。そんなこともあり、角換わりでは左図のように△2二銀のまま待機するのも有効な手順となる。飛車先交換できてラッキーと
▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △3三角
▲2六飛 △8六歩 右図
右図の△8六歩が厳しく先手の左金、▲7八金の省略を咎めている。
ちなみに▲2六飛に変えて▲3四飛は△2八歩がある。
自分の学習能力の低さから同じ手順を3度も食らっている。もう引っかからないぞorz
角換わり棒銀から。後手の△5四角に対して▲2六飛として左図。定跡手順は▲3八角では?と思われるかもしれませんがよく見ると先手の左金が6九のままになっており、その一手が入っていないために△7三銀が間に合っていません。
※後手の右銀は7二の場合もあります。
左図以下
△4四銀 ▲2四歩 △3五銀 ▲2八飛
△2四歩 ▲5五角! 右図
定跡との少しの違いを突いた▲5五角が飛香取りの痛打だ!
この手順も先日紹介した「超急戦!!殺しのテクニック」に書かれている。美馬棒銀の美馬とはアマ強豪の美馬さんの活躍によるところらしい。長年将棋倶楽部24で対局をしているがこの定跡が使えたのは一手損角換わりが流行りだしてからで左図の同一局面は207625局中わずか8局www内6局は自分である。
ちなみに後手の最善手は右銀を上がる前に△7四歩!次の△7五歩が先手の左金を上がっていないことを咎めている。
簡単に通常形に戻るので知ってて損は無い戦法である。
愛知県を中心に活動する将棋も指すサークル@通称:さくら総研