「定跡研究」カテゴリーアーカイブ

きmきm金戦法 その8

 

久しぶりの「きmきm金」の研究発表。一宮将棋大会に参加した際、先手番で2回、第1図の2手目△5四歩を指された。2手目にして中飛車宣言である。将棋倶楽部24の棋譜を調べた限りでは、十傑では2手目に△5四歩は皆無であることから、早々の角交換、3手目角交換を嫌っているのではないかと考えら、乱戦を好まないことが予測される。

第1図遭遇の際、私の研究は第2図▲6八金からの「きmきm金」。第2図から中飛車から△5五歩と指してしまうと、第3図から5五金の歩得を狙う。受けるには△3四歩しかないのだが、第3図となってしまうと、後手は5五歩を補強する手段がないのだ。第4図のように銀を足そうとすると▲5五金で歩得。金は下がれるので5六金の腰掛金が味よし。後手は乱戦を避けたはずなのに乱戦にせざるを得ない。

 

残念なことに対三間でないため将棋ウォーズではきmきm金のエフェクトは無い。

対四間飛車▲4五歩早仕掛け

対四間飛車▲4五歩早仕掛けから。(後手なら△6五歩早仕掛け)

最近、将棋ウォーズにて三間飛車の変化から第1図となることが6回発生。原因は2016年4月からのNHK将棋講座「村山 慈明の知って得する序盤術」だと思われる。たまたま見ていたら、四間飛車vs居飛車急戦▲4五歩早仕掛けにて四間飛車側の裏定跡として第1図のような▲7四銀が紹介された。四間飛車の左金が5八だったか、4七だったかは定かではないのだが、4七金なら第2図となる。

狙いは▲6三歩からの攻め合い。▲7三銀成‐▲6五桂の用も見ており居飛車側は対応を知らないと対策に苦慮する。この▲7四銀は定跡書では見かけないが2000年頃、学生準名人になった後輩に第2図を指され一時期研究していたものの約15年ぶり、細かい変化なんて覚えていないwww対四間飛車では先手:左美濃、後手:居飛車急戦で対抗しているので、当時の棋譜を並べなおしてみようと思う。手元の最古の棋譜は2000年5月11日でした。

続く

きmきm金戦法 その6

きmきm金戦法 その5 で研究した局面に誘導しました。

実戦棋譜はこちら

第1図が本譜の局面、第2図は昔からある定跡局面。違いは後手の玉と金。大きな違いは第2図では先手の狙いで▲8二角成△同銀▲7二飛があるのだが第1図では同様に進めても▲7二飛が王手にならない!つまり第1図は受ける必要がないのである。実戦は△6四歩▲同飛△4五馬と先手の6七に狙いを付けたが、単純に第1図で△4五馬もあるところだろう。第2図よりも第1図の方が後手指しやすく感じることから、先手は▲6六歩と角道を止めなければいけないようだ。

 

きmきm金戦法 その5

きmきm金の3手目は△4二金としている。先手石田流側が4手目▲6六歩しなかった場合、第2図のように角交換して△4五角がある。元々△4二金に代えて△4二玉として同じように角を打った場合▲7六角が打てないため居飛車指しやすいと言われているので、類似系の第2図も同様に居飛車がいいと思う。

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第2図から▲3六角△6七角成▲6三角成・・・第3図と馬を作りあう変化は力戦となるが、後手居飛車は手番と次の△5七馬の歩得がある。

将棋ウォーズの早指しで、「きmきm金」指す気満々で見落として変化だけど、次からは石田側が▲6六歩としなかった場合は第2図へ誘導しようと思う。

嬉野流対策

忘れたころに嬉野流に遭遇。後手の嬉野流には何度か遭遇していたが、先手の嬉野流には初めて出会った。将棋ウォーズのような短時間の将棋では奇襲戦法に出会うので事前の心構えは大事だ!

前回の記事 嬉野流に初遭遇

嬉野流の初手▲6八銀には居飛車を表明して第1図。嬉野流は引き角にするため▲5六歩を待って飛車先の交換をして第2図。手待ちの間は△7二銀の棒銀を見せるのがいいでしょう。

1歩得となって第3図。後手の7二銀は第2図だけみると棒銀を狙ってようにみえるが、真の狙いは第4図の美濃囲い。第4図以降2筋3筋で戦いが起こるため戦場から遠い美濃囲いは大変有効だ!理想はひねり飛車だが、そこまではさすがに許してくれませんw

 

相横歩取り その3

その2の続き

第7図の△5一金で先手のが攻めが難しい局面であると思ったが、

第7図以下▲5五馬△2八と▲8二飛・・・第8図

第8図の▲8二飛が詰将棋の邪魔駒消去みたいな手順で、馬と飛をチェンジ!第8図で後手の持ち駒が悪く適当な受けがない。

ということで、戻って第1図で▲7三歩は好手ということになる。単純に知名度が低いだけなのか、採用率の高い▲3六歩の方がより良い手なのだろうか?相横歩取り その4では▲3六歩の変化を検討してみる。

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その4へ続く

相横歩取り その2

相横歩取り その1の続き

△2七角には▲7三歩があり、「羽生の頭脳」では先手の一手勝ちとあるが、それは攻めあった場合で、攻めあわず第2図で△4二玉からしばらく受けに回るべきである!とは「続横歩取りは生きているー上巻ー」にあるものの先手の、と金攻めを先受けした第3a図は次の▲2四銀で受けが難しいように思うがどうだろうか?どう一手勝ちなのか進めてみると

第3図以下
△5二金▲6一飛△2八と▲6二と△2九飛・・・第4図

攻めあってお互い怖い形なのだが、格言に逆らって先手は王手王手で迫ります。

第4図以下
▲5二と△3三玉▲5五馬△4四歩▲6八玉・・・第5図

第5図で先手玉は上部が厚く先手がいいように思う。ちなみに「続横歩取りは生きているー上巻ー」では第6図のように徹底防戦を紹介している。

この手順なら先手が一手勝ちっぽいのだが、第3図で△5二金ではなく△5一金(第7図)が飛車+と金の攻めを緩和しているようで、これを嫌って先手は第2図の▲7三歩を指していないように思うが、私のデータベースの勝っている将棋を並べたところ、いい返し技があった。

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その3へ続く △5一金(第7図)対策

相横歩取り その1

飯島栄治プロの「研究で勝つ!相横歩取りのすべて」を購入してから相横歩取りの飛車角総交換を受けて立っている。終盤のかなり深いところまで研究されており知っていたもの勝ちのイメージの強い戦法だ。

将棋ウォーズで2局、第1図の△2七角を指される。第1図に変えて△3八歩の方が主流だと思っていたので、初めて指されたときは戸惑ってしまった。△2七角と△3八歩での勝率は次のようになっている。※類似局面▲8二歩を使う将棋も含める

  • △3八歩 78局 先手44勝-33敗
  • △2七角 67局 先手33勝-34敗

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飯島栄治プロの「研究で勝つ!相横歩取りのすべて」で調べてみると84頁にあとで紹介するとあるのに、どこにも載っていない・・・。「羽生の頭脳」では第1図以下▲7三歩から先手の一手勝ち、続横歩取りは生きている上巻でも、▲7三歩が好手とされているのだが、データベースを調べてみると▲7三歩は割合が低い。飯島栄治プロの著書でも最近研究されているとあったことから、▲3六歩の変化について書こうとしていたのかもしれない。

  • ▲3六歩 30局 16勝-14敗
  • ▲8一馬 13局 5勝-8敗
  • ▲7三歩 4局 1勝-3敗

その2へ続く