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240108-桑名R自戦記

2024年初大会は桑名レーティングA級に参加した。私の持ち点は1906点、A級だといつも使っている戦法が通じない可能性が高いけど、いつも通りの将棋を心がけて指した。結果は●●○○の2-2でした。
大会前後に長島SAで足湯に浸かってリラックスして良い日だった。

◆1R:先手-角換わり▲7七金型棒銀
フォロワーさんとの対局。たぶん初対戦?

▲7七金型棒銀は評価値的に-200~-300くらいの戦法でA級で通用するか試してみた。ハイリスク、ハイリターンな手順を選び形勢は次第に悪くなる一方、最後は入玉して1一まで逃げて負け。

◆2R:後手-角換わり△3三金型棒銀
研修会B2の子と対戦。引き続き角換わり棒銀を採用した。先手後手違っていても、先手が取れるのが▲7七金型、△3三金型の良いところ。

2R-1図で美馬棒銀が決まったと思ったが、大友流の△4四銀ではなく△2二銀となった。2R-2図の▲5五角で技ありと認識していたがそうでもなかった。
苦しい展開が続いていたが2R-3図でチャンス到来。▲6六銀でいいと読んでいたのに▲4八金と指してしまう。以下△5七桂成▲同金△5九角・・・。苦しくして再度チャンス到来して2R-4図。ここで▲3五角を読んでいたのだが▲7八金打と受けだけの手を指して最後のチャンスを逃して負け。

◆3R:先手-へなちょこ急戦対ゴキゲン中飛車
2連敗で迎えた3R、2023年は3連敗なかったことから、何が何でも勝ちたい。戦型は後手のゴキゲン中飛車に、へなちょこ急戦を採用した。

3R-1図の▲7八玉に変えて▲4五歩と仕掛ける変化もあるが一度見送る。3R-2図では、対四間の変化同様▲2五歩としたが、桂頭が怖いが▲3五歩が優ったようだ。一方的に攻め立て短手数で勝ち。勝ちやすくてゴキ中って絶滅してしまうのではないかと考えてしまう。

◆4R:先手-相横歩取り
研修会D1の子と対局、通算3局目。無理気味な攻めの印象だったが、予想通りの展開となった。相横歩取り飛車角総交換の変化は数年避けていたが、今年は踏み込むこととした。事前に研究していたこともあって一致率が半端ない。

定跡どおりに進んで4R-1図の△6四角が予想外の手だった。帰宅後に羽生の頭脳読み返したら▲6三馬でいいらしい。本譜は次善手の▲7二銀とした。4R-2図まで進むと後手の攻めは切れている。△4八銀から暴れてきたが丁寧に受けて勝ち。相手の子はショックだったのか凄くふてくされていた。

横歩取り青野流と佐々木流

横歩取り第1図の青野流、第2図の佐々木流、この2つの戦法の採用状況を調べてみました。データは将棋倶楽部24の2000点以上+24名人戦にて収集した棋譜から調べました。

青野流は手元の棋譜を調べてみると1991まで遡り有名どころでは中原名人-高橋九段との名人戦第7局でも指されていたようです。以降もプロ間で細々と指され横歩取りの一変化としてあるようです。佐々木流は2002年第8期24名人戦A級西リーグにありましたが、2002年に3局あるだけで2015年までで合計6局。2016年からは一気に増え2017年には採用が青野流と逆転となりました。2018年はまだ対局数が少なくどうなるか?ちなみに昔ながらの▲3六飛と引くのは2017年では287局あり、佐々木流の比重も高い。横歩取り△3三角を指すなら対策が必須な戦法と考えていいだろう。

相掛かり?横歩取り?

 

状況により横歩を取ったり取らなかったり、第1図の▲5八玉が近年まれに指されることがある。ここから単純にお互い横歩を取りあうと▲8四飛が王手飛車の筋に入らないため後手は△8二歩とあやまることになり、不満がある。どう指すのがいいのだろうか?

 

迷った時の勝負術で民明書房刊、禁断の鏡合わせを多用しているので△5二玉とすると、第2図の変化がある。相手に角を打たせたことに満足して第2図から△2三歩もあるかなと思っていたが、調べてみると第2図から強く△8九飛成▲2二角成△1五角!第3図。

第3図から先手は飛車を逃げにくい。▲2五飛は△3三桂、▲2八飛は△2七歩から飛車を封じる。第4図のように2枚換えと進め、△2八歩が大事な一手。

ここ2年ほどの将棋倶楽部24の棋譜を調べているが2016年は第3図で先手が高勝率なのだが、2017年からは激減。激減理由は2016年当初、第4図の△2八歩で△8六桂と攻めあっていたのだが、後手の角を狙う▲2五歩があった。第4図の△2八歩があると▲2五歩の瞬間、△2六飛の反撃があり先手が面白くないようだ。

第57期王位戦第3局☆横歩取り

王位戦第3局は先手羽生王位の横歩取り(実況棋譜リンク)となった。名人戦以降、羽生王位は横歩取りで勝てていないので、どういう展開になるのか楽しみなところである。第1図の局面を手元の将棋倶楽部24の2016年データベースで調べたところ18局▲10勝?△8勝。1局除いて十傑ばかりである。指している人は、バラけているので十傑の中での流行なのか?ちなみに1手前の局面は29局▲16勝?△13勝でやはり十傑ばかりだ。先手の3八銀型が珍しいようだ

そして封じ手の局面である第2図は将棋倶楽部24の2016年データベースでは3局▲1勝?△2勝だった。

以下▲4六角が2局▲1勝?△1勝と▲7三歩が1局▲0勝?△1勝だ。棋譜を並べてみると攻め合いになると先手は5筋に殺到される変化が多く辛いようだ。後手は金(かな)駒を渡しても桂香を5筋へ足すだけで一気に先手が崩壊しているように感じた。

明日の2日目、羽生王位の封じ手は▲4六角と予想する。そこから△1九角成からの攻め合いでどうなるのか?楽しみである。

相横歩取り その3

その2の続き

第7図の△5一金で先手のが攻めが難しい局面であると思ったが、

第7図以下▲5五馬△2八と▲8二飛・・・第8図

第8図の▲8二飛が詰将棋の邪魔駒消去みたいな手順で、馬と飛をチェンジ!第8図で後手の持ち駒が悪く適当な受けがない。

ということで、戻って第1図で▲7三歩は好手ということになる。単純に知名度が低いだけなのか、採用率の高い▲3六歩の方がより良い手なのだろうか?相横歩取り その4では▲3六歩の変化を検討してみる。

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その4へ続く

相横歩取り その2

相横歩取り その1の続き

△2七角には▲7三歩があり、「羽生の頭脳」では先手の一手勝ちとあるが、それは攻めあった場合で、攻めあわず第2図で△4二玉からしばらく受けに回るべきである!とは「続横歩取りは生きているー上巻ー」にあるものの先手の、と金攻めを先受けした第3a図は次の▲2四銀で受けが難しいように思うがどうだろうか?どう一手勝ちなのか進めてみると

第3図以下
△5二金▲6一飛△2八と▲6二と△2九飛・・・第4図

攻めあってお互い怖い形なのだが、格言に逆らって先手は王手王手で迫ります。

第4図以下
▲5二と△3三玉▲5五馬△4四歩▲6八玉・・・第5図

第5図で先手玉は上部が厚く先手がいいように思う。ちなみに「続横歩取りは生きているー上巻ー」では第6図のように徹底防戦を紹介している。

この手順なら先手が一手勝ちっぽいのだが、第3図で△5二金ではなく△5一金(第7図)が飛車+と金の攻めを緩和しているようで、これを嫌って先手は第2図の▲7三歩を指していないように思うが、私のデータベースの勝っている将棋を並べたところ、いい返し技があった。

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その3へ続く △5一金(第7図)対策

相横歩取り その1

飯島栄治プロの「研究で勝つ!相横歩取りのすべて」を購入してから相横歩取りの飛車角総交換を受けて立っている。終盤のかなり深いところまで研究されており知っていたもの勝ちのイメージの強い戦法だ。

将棋ウォーズで2局、第1図の△2七角を指される。第1図に変えて△3八歩の方が主流だと思っていたので、初めて指されたときは戸惑ってしまった。△2七角と△3八歩での勝率は次のようになっている。※類似局面▲8二歩を使う将棋も含める

  • △3八歩 78局 先手44勝-33敗
  • △2七角 67局 先手33勝-34敗

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飯島栄治プロの「研究で勝つ!相横歩取りのすべて」で調べてみると84頁にあとで紹介するとあるのに、どこにも載っていない・・・。「羽生の頭脳」では第1図以下▲7三歩から先手の一手勝ち、続横歩取りは生きている上巻でも、▲7三歩が好手とされているのだが、データベースを調べてみると▲7三歩は割合が低い。飯島栄治プロの著書でも最近研究されているとあったことから、▲3六歩の変化について書こうとしていたのかもしれない。

  • ▲3六歩 30局 16勝-14敗
  • ▲8一馬 13局 5勝-8敗
  • ▲7三歩 4局 1勝-3敗

その2へ続く

横歩取り △4五角戦法対策☆その2

その1の直リンク

将棋ウォーズの10分切れ負けの将棋から。△4五角戦法に対して第1図の局面で対戦相手は通信障害かと途中で思うほどの2分の大長考!竜を取り合い第2図の△3一歩!感覚的に先手がいいはずだが次の手が難しい。後手も手持ちに飛車があるため、単純に▲2二角だと△2四飛と打たれて困る。本譜は第2図以下▲8五飛と両取りをかけたが飛車が対して役に立たずいいところがなかった。最善は▲6五桂か▲6八玉あたりだろうか?

将棋ウォーズ棋譜

第74期名人戦第1局の横歩取り

第74期名人戦第1局▲羽生名人ー△佐藤天八段戦。手元のデータベースで棋譜研究をしてみました。データベースは2016年収集棋譜とそれ以前に収集していたものの2種類で研究した。先手+後手が総対局数と合わないのは千日手、中断局があるためである。

A:2016年収集棋譜 5436局?▲2787?△2536
B:2015年までの収集棋譜 120582局59633?59458

◎第1図△3三角まで
A:309局(5.68%)187?119
B:6176局(5.12%)3163?2970
・横歩取り△3三角戦法となる割合は若干増えているかなというレベルのようです。

◎第2図△7二銀まで(割合は第1図から第2図となる割合)
A:74局(23.95%)42?32
B:178局(2.88%)99?79
・2016年の横歩取り△3三角戦法の1/4は第2図となるようだ。割合が10倍違うのは、以前は△8五飛戦法や中原玉などが主流だったためと考えられる。

◎第3図▲3六歩まで
A:2局2?0
B:1局1?0
・名人戦第1局で現れた局面なのだが、実践例がほぼないことに驚いた。先手を持った羽生名人が勝っているため今後増える可能性がある。ただ類似局面として第3図から居玉、▲4八銀型の山崎流の将棋はB:17局13?4と先手が圧倒しており、掘り下げても後手にいい展開は少ないのかもしれない。

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